初ブログ

2013年06月22日 11:48

 

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」とは、川端康成長編小説、『雪国』(ゆきぐに)の冒頭部分である。抜け出た先の越後湯沢温泉(川端康成が「雪国」を執筆した宿:高半:たかはんが在る)は、雪国」の舞台になった土地である。「国境の長いトンネル」、すなわち清水トンネルは、上野国・越後国の境にある上越線清水トンネルであり、群馬県の水上から新潟県の越後中里まで、その間にそびえる谷川岳の中腹を貫いている。現在は、在来線である上越線はおのおの単線の清水トンネル、新清水トンネル(しんしみずトンネル)の2本があり、上越新幹線用の大清水トンネル(だいしみずトンネル)(複線)と合わせて合計3本が並行しているようだ。

 過去に、新幹線での新潟出張の際、トンネルの先の一面の雪原には、驚嘆したことがあった。これがアノ「駒子」さんの雪国なのだ!、と。しかし、感動半分であったのを記憶している。三月末の学会のハシゴ(東京を済ませ、一日後に新潟)で、口演内容の相違を頭の中と気持ちの整理することで、気もそぞろであったからだ。十数年振りの今回は、近辺の山々の残雪の時期(6月中旬)に、関越高速道路をバスで走り抜けた。しかし、越後平野に雪はすでになく、また乗り物酔いで、吐き気を抑えることで、またも気もそぞろ!、であった。

 川端文学の真髄に触れるには、やはり在来線で、雪の降る時期のトンネル通過に賭けるべきであろうか!。「国境」を、コッキョウ or くにざかい、のどちらの読み方が正しいのかの論争がある。が、小生は、前者を希望する。トンネルを抜け出て,雪原を走る急行列車の俯瞰図を想像しているからだ。新幹線では速すぎて旅情に乏しい。でも、鈍行列車のスピード感では、くにざかいでも良いのかもしれないが?!。

 

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